自動運転開発の舞台裏

C1カメラ開発リーダーが語る、ADK事業の軌跡。

連載企画「TIER IV PEOPLE」は、志をともにする個性豊かで魅力的なメンバー一人ひとりに焦点を当てて紹介します。

今回は、車載カメラと自動運転開発キット(Autonomous driving Development Kit、以下「ADK」)のプロダクトオーナーを務める川端にインタビューを行いました。世界の街中をティアフォーの自動運転車両が行き交う未来を思い描きながら、チャレンジを続けるエンジニアが会社や仕事への思いを語ります。


これまでの経歴を教えてください。

「シンプルな法則と数式で、様々な物事を網羅的に理解する」という物理の考え方に高校生の頃から興味を持ち、大学では物理学を専攻しました。続く大学院でも、物性物理学を専門とし、半導体や超伝導体をマイナス二百数十度の超低温環境に置いた場合、物質中の電子がどのように振る舞い、電気抵抗がどのように変化するかという研究に従事しました。

大学院修了後は大手の精密機器メーカーに就職し、最初の7年ほどはイメージセンサーの要素技術の開発を担当していました。その後、アメリカ・ニューヨークの子会社に出向し、主に自社製イメージセンサーの外販という新規事業の立ち上げと、プロの写真家向けのソフトウェア開発に従事しました。写真家の皆さんは一度に膨大な枚数の写真を撮影しますが、実際にクライアントに納品するのはその中から厳選したほんの数枚です。その膨大な選別作業をAIによって自動化するためのソフトウェア開発を行っていました。

Kazunari Kawabata | Product Owner

ティアフォーとの出会いや入社のきっかけはどのようなものでしたか?

ニューヨークでの生活が2年になろうとしていた頃、「もう少し自由な視点と裁量をもって、色々なことに挑戦してみたい」と思うようになりました。また、シリコンバレーから発信される最先端技術とビジネスに関する情報に日常的に触れたことで、「これからはAIや自動運転などの領域が社会変革を起こす大きな潮流になるだろう」と興味を持ち始めました。

ティアフォーに入社を決めたのは、当時のCTO (現CEO兼CTO)の加藤との面接で事業に対する思いや展望を聞き、強い信念と自信を感じたからです。それから、予定よりも15分も早く会議室に来て、迎え入れてくれた姿勢に、「自分を必要としてくれている」と感じました。

ティアフォーでの役割を教えてください。


入社時はオープンポジションで、最も人手が必要なシステムエンジニア(SE)として働きました。専門外ではあったものの、同僚や先輩に基本的なノウハウを教わりながら、システムを導入してくださったお客さまのサポートを担当しました。また、東京オリンピック・パラリンピックで注目された自動運転バス「e-Palette(イーパレット)」に「Autoware(オートウェア)」が採用されていたので、そのプロジェクトにも関わりました。

その後、本来の専門を活かせるSensing & Perceptionチームに配属されました。そこで車載カメラを扱ううちに、自動運転向けの車載カメラの品質や性能、信頼性の重要性に気づきました。市場には満足できる製品が少なかったため、自社開発を提案しました。「自動運転のソフトウェアを開発する会社がカメラというハードまで手を広げるのはリスクがある」という厳しい意見もありましたが、私は「自動運転開発をリードしようとしているティアフォーが満足できるカメラができれば、この領域全体からニーズを得られる」と確信していました。プレマーケティングにおいて1000台以上の需要が確認できたら、本格的に事業化を推進するという約束の下でスタートしました。自信を持ち、周囲の理解と協力を得ながらプロジェクトを進め、目標の販売台数も期間内に達成しました。車載HDRカメラ導入も好調で、製品の増産とラインナップ拡充も行われました。

スタートアップならではの裁量の大きさを体感し、エンジニア、プロダクトオーナーとして大きな充実感を得ることが出来ました。

この経験を活かし、現在は車載カメラとADKのプロダクトオーナーを務めています。顧客やマーケットのニーズを正確に把握し、製品開発の方向性(性能や仕様など)を決める役割を果たしています。

ADKについてもう少し詳しく教えていただけますか?

ティアフォーは、「自動運転の民主化」をビジョンとし、世界初の自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」を活用したソフトウェアプラットフォームと統合開発環境を自社製品として提供しています。
ADKは「Autonomous driving Development Kit」、日本語にすると自動運転開発キットです。これは先程話した車載カメラやライダー、センサデータを処理するコンピュータをまとめて一つのパッケージにしたものです。顧客には、ティアフォーが推奨するセンサーやコンピュータのパッケージを使用することで、ハードウェアの選定にかかる工数を削減でき、「自動運転の開発をスピーディに開始できる」という価値を提供しています。このキットは複数のオプションで構成されているので、顧客がそれぞれの要件に合わせて拡張できることも特長の一つです。

今後、ティアフォーで実現したいことを教えてください。

車載カメラの自社開発というプロジェクトを成し遂げ、事業面でも貢献ができたことに大きな充実感を得ました。今後もこれまでの知見やノウハウを生かして、自動運転という領域でイノベーションを起こしていきたいという気持ちがあります。ティアフォーをより多くの人々に価値提供できる会社にしていきたいと思っています。

Autowareは既に、30車種、世界20ヶ国、500を超える企業で採用されているにも関わらず、自動運転という業界を離れると、一般の人々にはまだあまり知られていません。

私たちは自動運転を日常生活に不可欠な社会インフラに成長させるため、日本発の自動運転スタートアップとして実績のある全国規模の実証実験を通じて、ティアフォーが優れた技術力を持つ会社であることを広く認知していきたいです。

具体的な方法についてはまだ詳細は明らかにできませんが、新規事業の開発経験を持つエンジニアという視点で会社のブランディングに携わることも面白いかもしれません。


エンジニアとして、川端さんが大切にしていることはありますか?

顧客の課題を正しく理解し、解決策を提案することが使命と考えています。この使命に対して情熱を持ち、フットワーク軽く動けるエンジニアであり続けたいと思います。そのためには、常に自分の技術や知識をアップデートし続けることも欠かせません。

また、エンジニアと一言で言っても、その職種やスキルは様々です。例えば、現在、ティアフォーで募集している「組み込みソフトウェアエンジニア」を例に挙げると、ソフトウェアの開発に不可欠なプログラミング言語や技術だけでなく、CPUやOSの制御、ハードウェアの回路設計などへの理解が求められます。どのコンピュータにつないでも上手く機能するようなシステムの開発という課題に対して、情熱と責任を持ち、柔軟かつ主体的に行動できる方と一緒に働きたいと考えています。


採用の話が出たところで、働き方という視点でティアフォーの魅力を教えてください。

ワークライフバランスのとれた環境だと思います。自宅からできることはリモートワークで、会社でしかできないことは出社時に集中して作業するスタイルが浸透しています。私自身が快適なのはもちろんですが、家族の希望や彼らとの時間とも両立できていると思います。

また、リモートワークが普及している一方で、社員同士の交流も充実しています。私は「釣り部」に所属しているのですが、仕事を離れて趣味を一緒に楽しめる仲間がいるところも気に入っています。



最後に読者の方々にメッセージをお願いします。

私たちは、独自のビジョンや戦略、優れた技術によって世界の自動運転をリードし、世界の街中をティアフォーの自動運転車両が行き交う未来を思い描きながら、日々切磋琢磨をしています。私たちの今後にぜひご期待ください。

なお現在、「組み込みソフトウェアエンジニア」や「自動運転開発キット製品開発エンジニア・FAE」の人材を募集しています。ティアフォーには、責任感を持って主体的に行動できる人であれば、様々なことにチャレンジができる環境が整っています。私たちのビジョンに共感し、一緒に挑戦してくれる方の応募をお待ちしています。

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