車両開発プロジェクトマネージャーに訊く、自動運転車両開発最前線

連載企画「TIER IV PEOPLE」は、志をともにする個性豊かで魅力的なメンバー一人ひとりに焦点を当てて紹介します。

今回は、車両開発のプロジェクトマネージャーを務める山下にインタビューを行いました。「人のために役立つ仕事がしたい」という信念の下、自動運転技術の社会実装に向けてEV車両開発プロジェクトをリードするエンジニアが会社や仕事への思いを語ります。


これまでの経歴を教えてください。


大学と大学院では、電気電子工学を専攻し、電気自動車に搭載されるモーターやインバーターなどの電動コンポーネントについて主に研究を行いました。特に、電気磁気学の観点からインバーターに焦点を当てつつ、同時にモーターコアの開発にも取り組みました。

卒業後、商用車分野でリーディングカンパニーとして認知されるOEMに就職しました。そこでは、電気自動車の先行開発を主導する部門に所属し、Vehicle Control Unit(VCU:車両制御ユニット)のソフトウェア開発に従事しました。この仕事ではプロジェクトの最初から最後まで経験し、全ての側面に携わることができました。

Akinari Yamashita | Project Manager, Vehicle Development

自動車、特に電気自動車の開発に興味を持ったきっかけは?

元々、車は好きです。ただ、この業界の「愛好家」と比べると、知識も情熱も比べものにはなりません。大学で電気電子工学を専攻したのは、その分野が広範かつ汎用性が高いため、卒業後の進路選択肢を多角的に考えることができると考えたからです。


転機となったのは、2011年の東日本大震災でした。大学を卒業後、大学院に進学するかどうか模索していた時期でしたが、震災がきっかけで「人のために役立つ仕事がしたい」という想いが芽生えました。そうであれば、これまで培ってきた電子・電気に関する知識や経験を活かして、社会に大きな影響をもたらせる「電気自動車」の分野でエンジニアになろうと決めました。

ティアフォーとの出会いや入社のきっかけはどのようなものでしたか?

大学院を卒業後、OEMで働いた後、自動車の電動化や自動運転、コネクティビティに特化した外資系自動車部品サプライヤーに転職しました。そこで、エージェントから声をかけていただいて、ティアフォーの存在を知りました。


最初は転職のつもりはありませんでしたが、その出会いがきっかけで、自動運転業界に対して関心を持つようになり、情報を積極的に収集するようになりました。深く掘り下げて知るうちに、どんどんティアフォーの事業に惹かれていきましたね。その理由は、大学や大学院の時から一貫して抱いていた「社会に影響を与える仕事に従事したい」という思いが、ティアフォーの使命と一致しているように感じられたからです。また、プロジェクトの最初から最後まで責任をもって携わるというOEMでの仕事の進め方がとても好きだったので、ティアフォーならこれらすべての希望を叶えられるのではないかと考えるようになりました。

その後、時間を空けて、別のエージェントからまたティアフォーを紹介され、今度は二つ返事で面談を希望し、無事に入社することができました。

ティアフォーでの役割を教えてください。

主に2つの役割を果たしています。まず一つは、車両開発のプロジェクトマネージャーとして、開発課題や要件の選定から開発計画の策定、部品のサプライヤーやベンダー、社内の各チームと調整を行うことです。そしてもう一つは、開発プロセス中に問題が発生した場合、問題を素早く把握し、原因を仮説立てるまでの一次的なフィルタリングを行う役割です。問題の解決は専門のチームに依頼しますが、彼らに問題の内容を正確に伝え、解決に向けて協力しています。

車両開発は、ティアフォー単独では完結しないプロセスです。様々なサプライヤーやベンダーと互いのノウハウを持ち寄り、それらを統合することで発生する課題を解決しながら、自動運転という高いハードルを乗り越えるための車両を共同で開発しています。その成果が、今年6月にローンチしたホワイトレーベルEV「fanfare(ファンファーレ)」です。

fanfare - あなたのブランドが、自動運転の可能性を広げる。

「fanfare」について、もう少し詳しく教えていただけますか?

「fanfare」は、ティアフォーがレベル4水準の自動運転機能を備えたEV車両(9車種)を開発し、生産、販売するというプロジェクトです。

ティアフォーではこれまで、「自動運転の民主化」というミッションを掲げ、自動運転のソフトウェア「Autoware(オートウェア)」をオープンソース化するとともに、ソフトウェアの要求を満たすことのできるハードウェア(ECUやカメラ、LiDARなど)をリファレンスハードウェアとして提供してきました。

「fanfare」は自動運転の社会実装をさらに加速させる新たな挑戦であり、様々な完成車メーカーから車両を調達して、レベル4水準の自動運転機能に対応可能な状態に拡張した後、ホワイトレーベルEVとして顧客に販売します。それと同時に、「レベル4自動運転化ガイドライン」を通じて、ホワイトレーベルEVの設計をfanfareのオープン仕様とし、サードパーティ企業が同様の仕様でEVを量産できる環境を構築することで、「自動運転の民主化」を推進します。

今後、ティアフォーで実現したいことを教えてください。

目下の目標は、「fanfare」というプロジェクトを着実に成長させ、このプロジェクトを通じて、日本国内だけでなく、世界規模で自動運転の普及に貢献していきたいです。世界的に見ても、自動運転技術はまだまだ実証実験段階であると思われる方が多いでしょう。「fanfare」を通じて車両をどんどん投入していき、自動運転を社会に根付かせ、人々にとってなくてはならない社会インフラへと成長させていきたいです。

そのためには、より強固なチームが必要です。現在、ティアフォーでは、「車両システムエンジニア」と「車両制御ソフトエンジニア」を募集しています。これらのポジションには、もちろんエンジニアとしての一定のスキルが求められますが、私たちが特に重要視しているのは、社内外のチームメンバーや多様なステークホルダーと協力して課題を解決しようとする姿勢です。応募者には、自らが課題に直面した際や周囲が困難を抱えている際に、積極的にアイデアを出し、行動できる能力を期待しています。一方で、スキルに自信がない方でも、ティアフォーには専門家が多数在籍しており、必要なサポートを確実に提供します。自動運転を通じて社会を前進させるという志を共有し、周囲と協力して課題に取り組む姿勢を持つ方と一緒に働きたいですね。

エンジニアから見て、ティアフォーの魅力とは?

ティアフォーの魅力は、何といっても事業を推し進める「速さ」です。

スイスの経済学者クラウス・シュワブ は「新しい世界では、大きな魚が小さな魚を食べるのではなく、速い魚が遅い魚を食べることになる」と言いました。ティアフォーは、間違いなく「速い魚」です。日本だけでなく、世界的に見ても、圧倒的なスピードで前進しています。エンジニアとして、これほどエキサイティングな環境はありません。

最後に読者の方々にメッセージをお願いします。

私たちティアフォーは、「自動運転の民主化」というビジョンの下、あらゆるステークホルダーと密に連携しながら、安全でインテリジェントな自動運転技術の開発と社会実装を推し進めています。ぜひ今後もティアフォーの事業展開にご期待ください。


また、先述の通り、現在、ティアフォーでは車両開発に従事する「車両システムエンジニア」と「車両制御ソフトエンジニア」を募集しています。自動運転というチャレンジングな分野に興味を持ち、私たちと一緒に挑戦してくださる方のご応募をお待ちしています。


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  • メディア取材やイベント登壇のご依頼:pr@tier4.jp

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