TierⅣ North Americaのプレジデントが語る!自動運転が社会にもたらす変革とティアフォーの挑戦

連載企画「ティアフォー PEOPLE」は、志をともにする個性豊かで魅力的なメンバー一人ひとりに焦点を当てて紹介します。

今回はTierⅣ North AmericaのプレジデントであるChristian John(社内では親しみを込めてCJと呼んでいます)にインタビューを行いました。CJはThe Autoware Foundation(AWF)のStrategic planning committee(戦略計画委員会)の委員長も務めており、AWFでの役割や、北米での活動について語ってもらいました。

――ティアフォーでの役割を教えてください。

TierⅣ North Americaのプレジデントを務めており、北米における事業運営の責任者をしています。TierIV North America のミッションは、北米での事業開発を推進し、ティアフォーの製品とソリューションの提供機会を拡大することです。北米だけでなく、ヨーロッパの事業にも注力しています。

AWFでは、エコシステムの構築を担う戦略計画委員会の委員長を務めています。ここでは、メンバーの育成や、「Autoware」とAWFの広報に取り組んでいます。また、大学の教育プログラムに「Autoware」を導入する方法や、オープンソースプロジェクトに幅広いコミュニティが参加できるような方法を模索しています。

――ティアフォー入社のきっかけはどのようなものでしたか?

ティアフォー入社以前は、Intelの車両テレマティクス部門で海外のコネクテッドカー市場向けのLTE/5G製品を担当していました。その後、Intelがコネクテッドカー市場から撤退し、PC事業を担当することになったのですが、それは私にとって心躍るものではありませんでした。

それまでにも、LTE/5Gといったセルラー通信技術を使ったコネクテッドカー技術に関する多くの研究をしていましたし、コネクテッドカーに自動運転を組み込む開発を始めたばかりで、この分野への強い興味がありました。

過去に3年ほど日本に住んでいた際にティアフォーの主要メンバーと出会っていた縁があり、自動運転がまさに私がやりたいことだと感じたため、ティアフォーへの入社を決意しました。


――ティアフォー入社以前に日本で働いていた頃は、どんな仕事をされていましたか?

まだ若いころ、プロジェクトで日本人や日本企業と関わり始めた際は、日本の労働文化を十分に理解できておらず、本当に多くの失敗をしました。同僚に対しては傲慢な態度を取ってしまい、自分は全てわかっていると過信していたんです。上司からは「同僚が私とは一緒に働けないと言っている」とまで言われたこともありました。今思えば上司の優しさだったのかもしれませんが、当時は大きなショックを受けましたね。

その出来事がきっかけで、日本文化や日本の会社で働くことについて深く学ぶようになりました。日本を離れて働くようになってからも、チームと直接顔を合わせてミーティングをするために、6週間に一度は日本へ行っていました。メンバーとはオンラインでも常に連絡を取り合い、密なコミュニケーションを心がけていたのですが、この努力が良い方向に進むきっかけとなりました。

予定通りプロジェクトを立ち上げることができた時には、「君のおかげでプロジェクトを成功させることができた」と言ってもらえ、本当に嬉しかったのを覚えています。最初は敬遠されていたわけですから、そうやって信頼してもらえるようになったのは、私にとって非常に大きな変化でした。この経験は、私が日本で働く上での仕事観に深く関わる、とても貴重なものでした。

この経験がきっかけで、Intelに勤めている際に日本に駐在することになりました。これは、私の人生を変えた経験の一つです。もし日本に住んでいなかったら、ティアフォーに出会うこともなかったですからね。

――ティアフォーに入社した後はどうでしたか?

ティアフォーに入社したのは新型コロナウイルスのパンデミックの最中だったこともあり、苦労しました。最初の1年半は完全にリモート勤務だったため、メンバーと直接会うことができませんでした。また、当時のティアフォーは日本市場に注力していたこともあり、すぐに会社に溶け込むことは難しかったです。言葉の壁もありましたし、完全なリモートで海外の企業に飛び込むのは非常にチャレンジングでした。

まずは会社の文化を理解し、メンバーとの関係を構築することが重要だと感じました。そんな中、AWFの活動には積極的に参加していました。これは私にとって非常にやりやすかったです。AWFでのやり取りは英語ですし、北米の企業も多く参加していたため、当初はAWFの活動に全体の80%ほどの力を注いでいました。

製品やソリューションのロードマップという観点から、私が日本のチームとより深く関わるようになったのは、日本でコロナウイルスが落ち着いてきた昨年のことです。現在は状況が少し変わり、北米を拠点としてビジネスを世界に拡大・強化することを目指しています。

――ティアフォーで働くことを一言で表すと?

一言で表すなら「協調」ですね。

その他には「イノベーション」や「破壊」という言葉も浮かびます。ティアフォーとAWF が進めている全ての活動において、幅広い企業との協力が不可欠です。これほどまでに複雑な事柄を、エコシステム内の非常に多くのパートナー企業と深く連携しながら推進している企業は、他にはないのではないでしょうか。

その観点から見ても、ティアフォーはパートナー企業との関係構築や、企業間の協力体制を築くのが非常に上手だと感じています。パートナー企業の方に「ティアフォーと仕事をしてよかった。これからも一緒にやりたい」と言ってもらえた時は、本当に嬉しいです。このような経験は私にとって初めてでしたし、日本の企業では珍しいことなのではないでしょうか。この「協調」という核となる部分が、ティアフォーを成功に導いているのだと思います。


――TierⅣ North America について教えてください。

TierIV North America は、小さなチームながら、AWFの活動を通じてエコシステムの発展や「Autoware」の開発、そしてその認知度向上に貢献しています。もちろん、エコシステム全体を牽引していく役割も担っています。

現在は、将来的なティアフォーのビジネスの発展を見据え、パートナーシップや顧客の開拓を進めています。2〜3年後には、ティアフォーの海外進出を本格的に支援する拠点となる予定です。


――TierⅣ North Americaが抱えている課題は何ですか?

最大の課題は人材です。AWFと様々な業務を進めながら会社自体を成長させていくのは非常に難しいですが、なんとか時間を工面して取り組んでいます。

そしてこれは今後直面するであろう課題ですが、多くの企業が「自分たちですべてやる」という意識を強く持っていることです。これは典型的なスタートアップの考え方なので、「オープンソースプラットフォーム」と「パートナーシップを中心に構築された価値観」を多くの企業に広めていくのは容易ではありません。しかし、2022年にArgo AIが投資を打ち切られ市場から撤退した事例もありました。そろそろそういった価値観から一歩先に進む必要があると思っています。今後は、自動運転技術の開発や市場への展開において、これまでとは異なるやり方で取り組み、新しいビジネスモデルやパートナーシップモデルを構築する必要があるでしょう。少ない人員の中で様々なチャンスを掴んでいかなくてはならないというのが、私たちにとって一番のチャレンジだと感じています。

――自動運転に投資している企業とティアフォーの違いは?

自動運転技術開発の概念そのものを破壊している点ですね。

オープンなエコシステム内でテクノロジーを発展させていくには、多くの企業や組織の協力が不可欠です。ティアフォーが提供する「Autoware」は、多くの企業がこれを活用し、自社製品として最適化できるだけでなく、希望すればそのソリューションをコミュニティにフィードバックすることも可能です。

このアプローチは非常にユニークで、自動運転業界では「Autoware」だけがこのようなオープンで協調的なビジネスモデルを採用していると思います。


自動運転に消極的な人々に伝えたいことは?

まず強調したいのは、自動運転技術はまだ開発の初期段階にあるということです。Waymo、Cruise、Zooxといった企業が目指す「完全自動運転」を業界全体が達成するには、まだ時間がかかります。

よりシンプルな運行設計領域(Operational Design Domain:ODD)向けのサービスやアプリケーションは徐々に増えてきています。

私たちは、まずはこのような種類の自動運転の導入を進め、技術を継続的に分析・改善していくことで、最終的には密集した都市や郊外など、どこにいても自動運転が実現するというビジョンを持っています。

――チームとしてのティアフォーを一言であらわすと?

一言で言うと「非常に複雑な問題に対応する専門家の集団」です。

各メンバーが責任感を持ち、社内だけでなく社外のパートナー企業とも密に協力しながら開発を進めています。それぞれが専門的な技術を駆使し、問題解決に邁進しています。

――どのような人にティアフォーに来てほしいですか?またどんな人が向いていますか?

イノベーションを起こしたいと考えている方に、ぜひ来てほしいですね!

ティアフォーには、常識にとらわれない方法で開発を進めたり、独自のソリューションや問題への取り組み方を提供できる人が多い印象です。

また、自動運転開発は非常にワクワクするものですが、同時に粘り強く進めることも不可欠です。一つのプロジェクトに5~10年かかることもあります。ティアフォーは業界に大きな変革を起こそうとしているので、目標達成に全力を注げる方をお待ちしています。


――自動運転車は私たちの生活にどんな恩恵をもたらすと思いますか?

まず一番は、死亡事故や交通事故を減らすことです。次に私が考える大きな利点は、車両インフラの効率を改善し、環境への影響を軽減することです。二酸化炭素排出量を削減し、輸送を効率化し、実際の移動をより安全かつ迅速にすることが、自動運転の大きな社会的利益と言えるでしょう。


――ティアフォーは今後どうなっていくと思いますか?

ティアフォーは、自動運転市場においてイノベーションと破壊を進めるリーダー的存在として、今後も牽引していくでしょう。ティアフォーの技術と製品が日本だけでなく、アジア、北米、そして世界中のお客様に活用され、新たな市場へ進出する機会を生み出すことが成功に繋がると考えています。

こうした機会が増えれば、私たちTierIV North Americaのメンバーがエコシステムに参加する機会も増えてくるはずです。私にとって最大の成功は、ティアフォーが業界の変革リーダーとして認められ、自動運転エコシステムにおけるこの変化を推進することだと信じています。

――最後にTierⅣ North Americaのメンバーとティアフォーに応募してくださる方へメッセージをお願いします。

TierⅣ North Americaの一員であること、そして今のメンバーと一緒に働けることを、心から誇りに思っています。素晴らしい方々ばかりで、ティアフォーで築くことができた人間関係は、これまでのキャリアの中で間違いなく最高のものです。

ティアフォーでは、本当に面白い人々と関わることができます。チャレンジングで非常にやりがいがある環境で、私たちと一緒に挑戦してくれる方の応募をお待ちしています。

・・・

ティアフォーでは、「自動運転の民主化」というビジョンに共感を持ち、自らそれを実現する意欲に満ち溢れた新しい仲間を募集しています。

多くの職種で採用をしています。詳細は、ティアフォーの「求人ページ」をご覧ください。

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