Autowareエンジニア座談会【後編】

ティアフォーが目指す組織、求める人材像とは

ティアフォーのコアともいえるオープンソース自動運転ソフトウェア「Autoware」をテーマに、エンジニアたちが座談会を開催。語られた内容を3回にわたってお届けします。

前編ではAutowareの成長プロセスや入社時の思い、中編ではOSS(Open Source Software)の面白さや課題について、最終回となる後編では、これからの組織作りや、求める人材像にフォーカスします。

チーム間の連携強化が必要なステージへ

伊勢 ティアフォーはいまや300人規模の組織に拡大しています。課題と感じていることや取り組み目標などをお聞かせください。

三宅 昔とは違い、優秀な人が一人いれば仕事が回るような状況ではなくなってきて、組織として成果を出すことを考えなければならないステージに入っていると思います。

チームの目標を明確にすることが大事ですが、現段階でここは少し弱いと感じています。目標がクリアになれば、優秀なメンバーが揃っているので、目標に向けて自律的に動いてくれるはず。そのマネジメントを機能させることが、直近の目標かと思います。

三浦 System Integration Teamは、日頃からAutowareを開発しているComponent Teamと比べると、より現場に近い立ち位置にいます。そのため、設計・開発段階では気づきにくい現場での課題や、潜在的な問題などをComponent Teamに迅速にフィードバックし、Autowareを改善していくのがとても重要だと思います。

太田 僕が2021年4月に入社した頃は、現場の人から「これを誰に伝えればいいかわからない。とりあえずPlanning/Control Teamの人に伝えておく」といったことがありました。

最近はそこが少し改善され、Planning/Controlの各モジュールに担当者がいて、誰に連絡すればいいかがわかるようになってきました。

バグが起きたとき、どこまでをSystem Integration Teamがやり、解析できなければComponent Teamに投げるといったフローが徐々にできつつあるのはいいことだと思っています。

Sensing/Perception Teamでは、週1回のミーティングで目標を周知していますが、視点がどうしてもPerception寄りになってしまう。例えばPlanning/Control Team側の「こうしてほしい」というような要望を聞いたり、もっと他のチームと連携しながら進めていくべきだと感じています。

三宅 目標には「技術開発」の観点と「プロダクト」の観点がありますね。技術開発では、テクノロジーロードマップを決めて、いつまでにどういう機能を実現するかという目標がクリアになってきたように思います。

ただ、企業として存続していくためには、それだけでは不十分。売上を挙げ、ビジネスを成立させるためには「この機能ができると、どういうお客様に、どういう価値を提供できるのか」というところまで考えて、取り組まなければならない。今後はそこを強化していきたいです。

満留 お客様に何かを提供する際に、テクノロジーロードマップに書いてあるマイルストーンに沿ってできたものが求められる基準に本当に達しているのか、必要な要件が決まっているのかなど、まだアラインを取りきれていないところもあります。きちんと合意を得た上で、「この日までにこれができる」と伝えられるような形にしたい。

ただ、ここにいるメンバーはそんな事を気にせずに、開発に集中できるようになるのが理想ですね。考えるのは僕らの仕事かな。

「幅広く興味を持てる人」

「自ら提案できる人」と一緒に働きたい

伊勢 ティアフォーでは新しい仲間をどんどん迎え入れています。どのような人がティアフォーで活躍できるのか、どのような人と一緒に働きたいかを教えてください。

Maxime フランス人がもっといたら嬉しいですね (笑)。前の会社ではPhDの学生とか、結構いました。リモートワークが浸透したことにより、世界中のどこからでも働きやすくなったので、外国人も海外在住の人も、もっと増えればいいと思っています。そうすれば人材の幅も広がりますし。特にOSSは、ワールドワイドなコントリビューションを前提にした枠組みで、コミュニケーションはすべて英語のため、より働きやすいはずです。大事なのはどれだけコントリビュートできるかで、エンジニアリングスキル、ロボティクスや自動運転の知識があればなおいいと思います。

伊勢 MaximeさんはAI系の出身ですよね。ロボティクスへの転換には苦労しましたか?

Maxime 私は人工知能分野の理論系出身なのですが、ロボティクスへの方向転換は特に難しいと感じませんでした。前職はリサーチャーとして入社したのですが、そこでロボティクスのエンジニアに転向しましたし、ティアフォーでも同じことが起きました (笑)。なので、ロボティクスやプログラミングの高いコンピテンシーがなくても、Autowareのどこかにコントリビュートできるならよいと思っています。何にコントリビュートできるか、何が求められているのかを特定できる能力。そして、問題解決を面白いと思える能力が大切ですね。

太田 私はPlanning/Control TeamやSystem Integration Teamで働いてきたのですが、その中でとにかく「手を動かせる」ことが大事だと感じました。Autowareは急速に進化・変化しているので、ときにはある機能が動かないというような場面にも遭遇します。そのようなときに、ただ悩むのではなく、コードを変えてみたり、挙動の変化を見たり、試行錯誤の過程で問題を突き止めることができるような粘り強い、くじけない姿勢を持っている人はきっと重宝されるはずです。一方で、一人で悩みすぎるのは良くないので、メンバーと積極的にコミュニケーションが取れることも重要な要素かなと思います。

籔内 Localization Teamの場合は、技術が結構成熟していて、例えば自動走行でお台場を100周走ったとしても、Localizationによる中断はほぼ起きないと思うんです。

だから、地図がなくても走れたり、地図から外れても復帰できたりするような、より進んだLocalizationを目指せないか、チームで話し合うことがあります。そのため、既存手法とは異なる別のアプローチができるような人材を求めています。新しい技術のキャッチアップができる人、新しい研究開発に取り組める人に来てほしいです。

具体的には、自己位置推定に用いているLiDARだけでなく、カメラ、オドメトリ、GNSSなどに詳しい人が入ってくれると、チームとしてより進化できるんじゃないかと思います。

満留 System Integration Teamの場合は開発チームが作ったものを最終製品に落とし込むにあたっての穴埋め作業が多い。多様な仕事に率先して手を出せる人がいいですね。

太田 System Integration Team には、Sensing/PerceptionからPlanning/Control、さらには車両との結合部分まで、全般をカバーできる人が求められそうですね。

三宅 あんまりハードルを上げすぎないで (笑)。もちろん、幅広く手がけたい人も歓迎ですが、一人で全部できる必要はなくて、何か1つでも突出したものがあれば、それを活かせるチームがあると思います。

ティアフォーは「すごい人材が集まっている会社」と思って、応募をためらう人もいるそうですが、全然そんなことないよ、自動運転をよく知らなくても大丈夫なんだよ、と伝えたいです。

太田 確かに私は自動運転の研究をしていたわけでもないのに、新卒で入社しました。実際に働いてみて、活かせる強みがあればいいのだと感じています。

主体的・自発的に動けることが大事で、そういうタイプの人はティアフォーで輝ける場があると思います。

籔内 あまり経験がないことでも、幅広く興味を持てる人がティアフォーには向いていると思います。「詳しくないんだけど、なんか面白そう」ってすぐに手を出せる人ですね。そういう人とは一緒に働くのが面白いでしょう。

僕自身はもともと数理最適化とか幾何学が好きだったのですが、実際のデータで計算を走らせたり、実環境で物を動かすことにも興味が広がりました。自分が実装した最適化によって自動運転車が走ると思うとワクワクします。ですから、始めは自動運転にあまり興味がなかったとしても、近い技術に興味を持っている人とは、一緒に楽しめるかなと思います。

三浦 「興味が一番大事」だと僕も思います。もともとは知識がなかったとしても、興味があることなら自然と自分で調べて学んでいけますよね。自動運転にはとても多くの要素技術が含まれているので、技術が好きな人は大体何かに興味を持っているのではないかと思います。

興味という点では、自分の専門分野だけでなく、他のチームにも興味を持てる人が活躍できると思います。フッ軽と言うんでしょうか。技術的なフットワークの軽さでいろいろなチームや人に働きかけて、全体の改善につなげられる人。

それと個人的には「メモ魔」を歓迎します。自分がしたことを逐一メモに残してくれる方がいますが、とてもありがたいです。僕自身忘れっぽくて、2カ月前のことを覚えている自信がないので (笑)。いろんな人がメモ魔になってセーブポイントを作ってくれたら、OSSとしても技術者としても皆が楽に他の人の道を辿れる。ビギナーからハイレベルな人たちの橋渡しとなることで、会社としてもハッピーだと思います。

満留 改善の意識を持って、自ら動ける人がいいですね。うまくいっていないところを見つけたら、率先して「こうしたい」と提案してくれる人。三宅さんがそれをやってくれていて、すごくありがたいので、そういう人と働きたいです。

三宅 ティアフォーは変化している最中のスタートアップ企業なので、決まっていないことも多い状態。そういう環境で「自分の仕事は何ですか」と指示を待っていても仕事は進まないので、「決まっていないなら、これでどうですか」と提案をしてくれる人に来てほしい。

伊勢 ティアフォーには民主主義的な風土があって、一人ひとりの意見が尊重されますよね。それは良いところなのですが、スピードの観点では副作用もあると思っています。不明確ですが進めなくてはならない局面で「自分が責任を持つから、この方針で行かせてくれ!」と言える人が増えると、ビジネスがさらに前進しやすくなると感じます。

三宅 それも大切ですが、OSSではバランスも重要かもしれません。「絶対これ」と押し通すだけではOSSとして合意を得るのが難しいので、他者の意見を受け入れつつ物事を進めることができるような柔軟性もあるといいですね。

満留 様々なバックグラウンドの人が集まっている会社だから、異なる考え方や文化を理解した上で、コミュニケーションや連携がとれる人がいいですね。

ティアフォーでは、「自動運転の民主化」というビジョンに共感を持ち、自らそれを実現する意欲に満ち溢れた新しい仲間を募集しています。

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