自動運転シミュレーションエンジニア

シミュレーションで自動運転の開発を加速する


連載企画「TIER IV PEOPLE」は、志をともにする個性豊かで魅力的なメンバー一人ひとりに焦点を当てて紹介します。

今回は、当社で開発したオープンソース自動運転シミュレーター「AWSIM(オーシム)」の開発をしている牧野へインタビューを行いました。昔から車が大好きな牧野が、AWSIM発表にあたっての思いや開発秘話を語ってくれました。


ティアフォーとの出会いは何でしたか?

もともと車が好きで、学生時代から車両シミュレーションの研究をしており、社会人になってからも仕事や趣味を通して開発を続けていました。ティアフォーが自動運転の研究開発をしていることは以前から知っており、いつかは次世代車両のシミュレーションを仕事にしたいと思っていたので、ティアフォーに応募しました。

どのようなスキルを活かせると感じましたか?

車両ダイナミクスやタイヤモデルの研究をシミュレーターを開発しながら行っていたので、物理エンジンや車両シミュレーションに関するスキルを活かせると思っていました。また、センサーシミュレーションに関しても、ゲーム開発の経験があったので、グラフィックスやゲームエンジンに関するスキルを活かせると感じました。

車のシミュレーション開発を始めたきっかけは何ですか?

親が車好きだったので幼少期からサーキットに連れて行ってもらったりしていて、私も気づいたときには既に車が好きでした。大学生になって当時まだ安かったスポーツカー(RX-7 FD)を買ってサーキットを走るようになったのですが、スポーツ走行を繰り返すうちにどんどん車が壊れてしまって (笑) お金もなく自分で頑張って修理していたのですが余計に壊してしまったり…修理に時間がかかってしまいました。その間に、運転したいな~と思ってシミュレーターを作り始めたのがきっかけです。

好奇心を仕事へ活かす、ティアフォーで挑むデジタルツインの世界線

入社後はどのようなことに注力してきましたか?

ティアフォーではシミュレーションチームに所属しており、エンジニアをしています。オープンソース自動運転シミュレーター「AWSIM」の開発全般に注力しています。

AWSIM

「AWSIM」について教えてください

AWSIMは、ティアフォーが開発を主導する自動運転OSの「Autoware(オートウェア)」をEnd-2-Endにシミュレートすることができるデジタルツイン指向のオープンソース自動運転シミュレーターです。シミュレーター内で車両やセンサー、走行環境や交通流などを再現し、実機と同じ方法(ROS2)でAutowareと通信を行います。そのため、ハードウェアを除く、各Autowareのコンポーネントをフルスタックにテストすることができます。

AWSIMの開発と運用に、具体的にどのように携わっていますか?

最初にリポジトリを立ち上げてファーストコミットするところから携わっています。設計、実装の他に開発ロードマップ作成やドキュメント執筆、ライセンス検討など、AWSIMの開発全般をしています。社内外からの機能要望のヒアリングやOSS(Open Source Software)のリリース・issue対応や、イベント登壇などのPR活動も行っています。

初期からOSSになるまで、全体的に関わっているんですね。

はい。開発初期はほぼ個人でAWSIMのベースを実装して、そこからThe Autoware Foundation (AWF) の海外メンバーにも参画していただき共同で開発を進めました。今では社内外のAutowareユーザーも巻き込んで、オープンソースでAWSIMの開発を進めています。


今までで「ここは苦労した」ということはありますか?

いっぱいあります(笑)

まず、自動運転のEnd-2-Endシミュレーションということで、自動運転に関わる様々な技術を理解することが求められます。例えば、車両制御、センサー、通信、地図などです。分からないところは社内のあらゆる部署にヒアリングして、実装に落とし込むことができました。色々教えていただき、感謝しています。

次に、自動運転シミュレーターならではのパフォーマンス・チューニングについてです。自動運転では車両の全方位を複数のカメラ・LiDARセンサーで常にセンシングする必要があるので、レンダリングが不要な領域をカリングするオクルージョンカリングやフラスタムカリングの効果を、あまり期待することができません。また、3DモデルのLODやテッセレーションについても、LiDARで取得する点群データに影響を与えてしまうため考慮が必要です。一般的なプロジェクトに比べてパフォーマンスがネックとなりますが、できるかぎりGPUを活用するなどしてパフォーマンスを出してます。例えば、LiDARシミュレーションではNVIDIA RTXのレイトレーシングを活用することで高速に処理しています。

そして、自動運転は研究開発領域が多いということです。シミュレーターに関しても同様です。枯れている技術に関してはさっさと実装してしまい、研究要素の多い領域に時間を配分するように心がけました。メンバー間で役割を分担し、なるべく効率的に実装しました。そのようにAWSIMを開発していく中で、RGLros2-for-unity等、機能の一部をライブラリとして切り出してオープンソースで公開することができました。

AWSIMの今後の目標はありますか?

AWSIMをリリースしてやっとスタート地点に立てたと考えていますが、AWSIMには大きく2つの目標があります。

1つ目はAutowareの機能開発やテストを強化することです。シミュレーターで仮想的に車両ダイナミクスやセンサー、走行環境を再現することで、自動運転の開発におけるコストやリスク削減を狙います。

2つ目はAutowareを普及させることです。実機を用意しなくてもシミュレーターでAutowareを気軽に試せる環境をユーザーに提供します。また、ティアフォーで開発している自動運転OS(Autoware)とシミュレーター(AWSIM)はどちらもオープンソースなので、誰でも開発に参加することが可能です。

AutowareのEnd-2-Endシミュレーターとしてリファレンスの立ち位置を継続しつつ、AWSIMの機能開発やパフォーマンス改善、そして先日協業発表したゲームエンジン開発元のUnity Technolgiesと協力して、開発を進めていきたいです。


魅力あるメンバーとともに、新しい車を作る

目標を実現するために、どのような人にティアフォーにきて欲しいですか?

得意とする分野で専門性が高い方に来ていただきたいです。自動運転は様々な分野の技術を連携させることで実現できると思っています。自動運転を作っていく上では知らない分野についても知る必要があるかもしれないですが、ティアフォーにはお互いに協力したり助け合ったりする文化があります。

ティアフォーの一番の魅力はなんでしょうか?

とにかく一緒に働く人の専門性が高い点は、他に類を見ない魅力だと感じます。ティアフォーには、様々な分野から自動運転を実現するために専門性の高いメンバーが集まっています。

例えば、元スカイラインGT-R開発者や元スパコン京開発者など、本当に素晴らしいプロダクトを開発してきたメンバーが多く在籍しています。

また、役員自身もエンジニアやコンピュータサイエンス研究者、大学教授などのバックグラウンドを持っている方が多いので素養が非常に高く、技術的な話がスムーズに進む点はエンジニアとして魅力に感じます。


先ほど「Unity」の名前が挙がりましたが、ティアフォーは活発に他企業と連携・協業しているイメージがあります。

CTOの加藤が東大の准教授ということもあって、アカデミックな分野にもアプローチがしやすいです。実際にAWSIMも名城大学や名古屋大学との共同研究を進めています。「あの企業の製品について、話を聞いてみたい」と思ったときに、既に社内の誰かが繋がりをもっていて、すぐにミーティングを開いたこともありました。AWFには60以上の企業や大学などが参画していますし、そういったコミュニティもオープンソースならではの強みだと思っています。


最後に何か一言ありますか?

新しい車を作りたい方、是非ティアフォーへ!



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ティアフォーでは、「自動運転の民主化」というビジョンに共感を持ち、自らそれを実現する意欲に満ち溢れた新しい仲間を募集しています。

今回のチームで募集中の職種

その他にも多くの職種で採用をしています。詳細は、ティアフォーの「求人ページ」をご覧ください。


「どの職種で自分の経験を活かせるかが分からない」「希望する職種が見つからない」などの場合は、ぜひ「キャリア登録」をお願いします。

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