オープンソース自動運転ソフトウェアを活用し「自動運転の民主化」に挑む
出典:ビズリーチ掲載記事(2025年4月24日公開)より転載
CTO/高島 芳仁(右)COO/三好 航(左)
自動運転車両をはじめ、自動運転を可能にするソフトウェアや各種サービスを提供する株式会社ティアフォー。「自動運転の民主化」を掲げる同社は、世界初のオープンソース自動運転ソフトウェア「Autoware」を活用したサービスを提供し、すでに日本国内で自動運転の社会実装を手がけています。今回、ソフトウェアエンジニアを中心としたエンジニアの採用を強化するにあたり、同社の技術やビジネスモデル、求める人材などについて、CTO、COOにお話を伺いました。
──はじめに、ティアフォーの設立背景や展開する事業などについて教えてください。
高島:ティアフォーは、当時名古屋大学で准教授を務めていた加藤真平が2015年に設立した会社です。加藤自身、研究者として自動運転やAI、プロセッサやOSなどを専門に研究しており、その一環として開発した自動運転ソフトウェア「Autoware」を用いた事業を展開する会社として創業しました。
Autowareは、自動運転を設計するうえで必要なあらゆる機能を有する、LinuxとROSをベースにしたオープンソースの自動運転ソフトウェアです。自動運転技術の普及や発展に貢献するべく、世界中の多様な組織や個人と連携してシステムを開発できるオープンソースという形式にこだわっています。
三好:ティアフォーの具体的な事業は大きく2つです。1つは自動運転のプラットフォームを搭載した自動運転車両を開発し、交通事業者や自治体などに提供しています。もう1つは、自動車メーカーや自動運転システムを開発したい企業に対して、自動運転プラットフォームをライセンスで提供しています。
これらのビジネスを実現するために用いられるのが、自動運転システムの車載ソフトウェアパッケージである「Pilot.Auto」、自動運転システムの開発と運用をクラウドベースの基盤で効率化する「Web.Auto」、ソフトウェアを実際に動作させるハードウェアの「Edge.Auto」の3つのプラットフォームです。これらは、先ほど紹介したAutowareをベースに開発されています。
──ティアフォーの事業のベースとなる、Autowareとはどういったものですか。
三好:運転をする際、現在は人間が自分の目で周囲を確認し、頭で考え、手足でハンドルやアクセル、ブレーキを操作しますが、自動運転ではセンサーなどから取り込んだ情報をもとにアクセルやブレーキに指示を出したり、経路を決めたりといった判断をソフトウェアが行います。そのソフトウェアの集合体がAutowareです。
Autowareの強みは、特定の領域の車に限らず、あらゆる車に活用できることです。ロボットタクシーまたはトラック、建設機械など、領域を絞った自動運転技術は多く存在しますが、Autowareは車種・領域を選びません。
高島:あらゆる車に活用できる背景にAutowareの高度な技術があり、その開発を可能にしているのが、ティアフォーが2018年に立ち上げた世界初の国際業界団体である「The Autoware Foundation」の存在です。
このコミュニティーには、世界各国の企業・研究機関・大学などに所属する研究者、ビッグテックや自動運転業界の出身者、世界をリードする日本の自動車関連企業に所属する方など、100社以上の業界団体や企業、そして個人が集い、Autowareの開発を推進しています。オープンソースだからこそ全世界のプロフェッショナル人材とともに開発でき、日々技術が進化する自動運転のソフトウェアをアップデートできます。こうした体制が、Autowareの高度な技術を支えているのです。
社会実装が進む自動運転。今後のカギは開発プロセスの効率化
──実際にティアフォーが手がけた自動運転のプロジェクトについてお聞かせください。
三好:私たちが手がけた自動運転システムを載せたバスが日本各地で走っていますが、なかでも先進的な取り組みをしているのが、石川県小松市と長野県塩尻市です。
小松市では、小松空港から小松駅までティアフォーのバスが日常的に運行しています。小松市はドライバーが乗車して走行していますが、塩尻市では自動運転レベル4(特定の条件下で自動運転システムが車両操縦可)の運行許可を取得し、完全に無人の状態のバスを運行することができます。
こうした市町村との取り組みに加えて、2020年にはヤマハ発動機様と合弁会社を設立し、日本各地の工場内で無人の自動運転車両による物流搬送ソリューションが使われています。
現在ティアフォーには社員が約400名いますが、そのうち7割ほどがソフトウェアやハードウェアを手がける技術者です。ソフトウェアエンジニアの多くがプラットフォームの開発に携わっており、シャトルバスや工場内搬送の自動運転プロジェクトにも数十名が参加し、プロジェクトを推進しています。
──社内の開発体制はどのようになっているのでしょうか。
三好:当社はいわゆるシステム開発のV字モデルを基本としています。事業開発担当者とエンジニアが協働して市場の要求やお客様の要件を正確にキャッチし、それを具体的に設計に落とし込んでR&Dや開発、テストを行っていきます。
高島:開発の流れとしては、より幅広領域での自動運転の実装に対応するために、まずは業界問わず必要とされる、いわば「最大公約数」となる技術や機能を見つけ、その後、業界・領域ならではのニーズに応じた追加開発をしていくイメージです。Pilot.Autoなどの各種プラットフォーム開発側で90%に近い最大公約数を見つけておけると、追加開発は10%で済みます。ティアフォーはまさに今、最大公約数を見つけて開発を効率化することにチャレンジしているところです。
事業の成長期。自動運転の新たなプロダクト創出に情熱を持つ方を迎えたい
──今後に向けてどのような事業戦略を描いていますか。
三好:工場内搬送や自動運転バスの自動運転は社会実装が進んできていますので、今後は実装範囲を拡大することに注力していきたいと思います。当社は売上が毎年大きく成長しています。引き続き成長し続けるため、今後は例えばタクシーやトラック、自家用車といった大きな市場を持つ領域にチャレンジしたいです。
高島:技術面では、これまで以上に優れた品質や安全性を担保する必要があると考えています。実装範囲が増え、自動運転車が増えれば増えるほど、問題に遭遇する場面の増加が想定されるためです。
それを見越したうえで戦略的にテストを展開したり、リスクを認識したうえで必要なセキュリティ対策を施したりしなければなりません。それらを実行できる技術者をそろえ、トレーニングやメンタリングをして開発組織を強化していきたいです。
また、事業を継続するためには、昼夜、休日問わずシステムを回していく必要があります。そのためにバックエンドエンジニアを増員し、個々に負担が掛かりすぎないようなローテーションを組んでオンコール体制を構築したいと考えています。
──そうした戦略を実現するために、どのようなソフトウェアエンジニアを求めていますか。
高島:今後、各事業を拡大していくにあたっては、よく使用されているサービスの設計から実際の開発、テスト、運用まで、一通り経験したことのあるソフトウェアエンジニアに参画していただけると心強いです。また、信頼性の向上や優れたUIの作り込みに対応するため、フロントエンド開発の経験がある方にもご応募いただきたいと思います。
今後は海外展開も視野に入れています。そうなると、一定の英語力は必要です。とはいえ、入社時にはベーシックな語学スキルがあれば十分です。なかには新卒で入社して、外国人メンバーとコミュニケーションをとるうちに英語を話せるようになった人もいます。自主性や目的意識を持って意欲高く業務に取り組める方に参画していただけたらと思っています。
三好:私たちは、世の中にいまだない新たなビジネスを生み出そうとしています。新規事業を創出するにあたってリーダーシップを発揮し、プロダクトマネジメントのスキルを活かして、自動運転システムやプロダクトを作ることに情熱を注げる方からのご応募をお待ちしています。
異業界、グローバルでキャリアを築いたCxOが思う、ティアフォーの魅力とは
──二人が思う、ティアフォーで働く魅力は何でしょうか。
高島:私は20年ほど北米に住み、MicrosoftやAmazonでソフトウェアエンジニアとしてプロダクトの大規模化、効率化に取り組んでいました。ビッグテックは開発環境にも恵まれていましたし、働くためのさまざまな条件もそろっていたのですが、これまで経験したことを日本のエンジニアに伝えたいという思いより、ティアフォーに転職しました。
ティアフォーのように海外展開する技術力、資金力、環境が整っている会社はそう多くないと思います。また、近年では外国人エンジニアも増えてきていますので、彼ら、彼女らとの交流を通して学べることも多くあるでしょう。
グローバルで働きたくても、ビザの関係や言葉の壁もあるため、いきなり世界で働くのは難しいとためらう方もいるかもしれません。そのような方にとって、多様な人材と関わりながらグローバルなキャリアを築けるティアフォーは魅力的な会社だと思いますので、こうした環境に興味がある方はぜひご応募ください。
三好:私は前職が大手総合商社で、海外で鉄道建設プロジェクトなどに携わっていました。もともとSFが好きだったので、いつか未来の技術に携わりたいという気持ちがあり、かつ日本のスタートアップに入社してグローバル進出を目指したいとも考えていたことからティアフォーに入社した経緯があります。
W大手自動車メーカーでも自動運転システムを開発していますが、大きな組織の一つの取り組みというケースが多いと思います。一方、ティアフォーは自動運転に特化した会社ですので、スタートアップの企業文化を活かしながら、非常に速い「スピード感」で開発や事業を推進することができます。実際に、ティアフォーでは他社に先駆けて、公道を自動運転で走らせるテストに取り組んでいました。スピード感を持って世の中に新しいプロダクトを出していける点におもしろさを感じていただけると思います。
また、人口減少によってドライバー不足や移動難民などの問題が浮き彫りになるなか、その解決手段として自動運転技術のニーズが高まっていることから、社会課題の解決に貢献できる点にもやりがいを感じられます。未来の技術を日本から広げたいと思う方と一緒に働けることを楽しみにしています。
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ティアフォーでは、「自動運転の民主化」というビジョンに共感を持ち、自らそれを実現する意欲に満ち溢れた新しい仲間を募集しています。
その他にも多くの職種で採用をしています。詳細は、ティアフォーの「求人ページ」をご覧ください。
「どの職種で自分の経験を活かせるかが分からない」「希望する職種が見つからない」などの場合は、ぜひ「キャリア登録」をお願いします。
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